「デルトラ・クエスト」シリーズ表紙

 エミリー・ロッダによる冒険ファンタジー小説「デルトラ・クエスト」シリーズの表紙についてまとめました。

「デルトラ・クエスト」

 大地から掘り出された七つの宝石と、七種の竜の結びつきに守られて発展してきたデルトラ王国。主人公リーフが、隣国の邪悪な魔法使い・影の大王による侵略に立ち向かい、荒れた王国を復活させるまでを描く。

  影の大王の圧政から王国が解放されるまでを描いた「デルトラ・クエストⅠ」シリーズ(全8巻)、影の大王に連れ去られた奴隷を救いだす「デルトラ・クエストⅡ」シリーズ(全3巻)、影の大王が残した王国滅亡のためのシナリオを阻止しようとする「デルトラ・クエストⅢ」シリーズ(全4巻)の三部作全15巻。

単行本✨

 表紙のモンスターの絵は、オーストラリアの画家 マーク・マクブライドによるもので、英語版原書と共通。日本語版装丁・さし絵は、はけたれいこ(一部除く)。表紙のみならず、裏表紙やカバー裏にも、1巻ごとに異なるデザインがほどこされている。

おすすめポイント

 モンスターの表紙が気になって本を手にとってみたものの、絵を見ただけで終わってしまったり、中身は文字ばかりで、退屈に感じてしまったりすることもあるよう。ひとりで本を読み切る力がすでについているお子さんにおすすめです。文章をもとにして、情景や登場人物の表情を想像しながら読む経験ができるはずです。

キラキラ加工

 表紙のキラキラした加工は、日本語版オリジナルの装飾。子どもがお小遣いで買うことができるよう、コスト削減を行って定価を抑えるために、初期の版は中国で製本されている。12

「デルトラ・クエストⅠ」シリーズ

 少年リーフは、影の大王の支配を終わらせ王国へ自由を取り戻すため、『デルトラのベルト』を飾る七つの宝石を取り戻し、ベルトをつけるべき王の世継ぎを探し出す。

 翻訳は岡田好惠。「デルトラ・クエストⅠ」シリーズのみ、単行本のほかに、新装のフォア文庫版とフォア文庫版の電子書籍や、オーディオブックが刊行されている。

フォア文庫版・電子書籍

 フォア文庫版イラストは吉成曜吉成鋼

 文庫版表紙は、作中のいち場面を切り取った登場人物のイラストが中心。また、作中のさし絵が単行本より一新されたほか、新たなさし絵も追加されている。

 電子版は1巻「沈黙の森」~4巻「うごめく砂」まで、岩崎書店公式ページから試し読みできる。

おすすめポイント

 キラキラした単行本とは対照的に、人物のイラストや、場面を描いたさし絵がたくさんあるフォア文庫版。

 文字や図からイメージを思い描くことが得意か不得意か、好きか嫌いかは個人差もあると思いますので、絵があるほうが読み進めやすいお子さんや、モンスターの表紙が好みでないお子さんにおすすめです。

 また、子どものころ「デルトラ・クエスト」を読んでいたが、久しぶりにまた読んでみたくなった、という方にも、持ち歩きやすく、大人っぽい表紙の文庫・電子書籍はおすすめ。

1.「沈黙の森」

単行本

表紙の怪物は、『沈黙の森』のゴール。装丁は、ひとつめの宝石・トパーズと同じオレンジ色。

文庫版

表紙イラストは、リーフ・バルダと『沈黙の森』の少女・ジャスミンの三人組。

2.「嘆きの湖」

単行本

表紙は、『嘆きの湖』のソルディーンやヘビといった、作中に登場する怪物たち。装丁は、ふたつめの宝石・ルビーと同じ赤。

文庫版

表紙イラストは、物語の中盤でジャスミンが底なし沼につかる場面。

3.「ネズミの街」

単行本

表紙は、魔境『ネズミの街』のネズミと大蛇・リア。装丁は、3つめの宝石・オパールを模した玉虫色。

文庫版

表紙イラストは、バルダとリーフが『ネズミの街』のネズミを切り捨てる場面。

4.「うごめく砂」

単行本

表紙は、『うごめく砂』の怪物(テレオクティ[3])。装丁は、4つめの宝石・ラピスラズリの群青色と銀色。

8巻「帰還」以外では、4巻「うごめく砂」のみ表紙の怪物が七つの宝石の番人ではない。

文庫版

表紙イラストは、『うごめく砂』にいるリーフ。

5.「恐怖の山」

単行本

表紙は、『恐怖の山』の怪物・ゲリック。装丁は、5つめの宝石・エメラルドと同じ緑色。

文庫版

表紙イラストは、物語中盤、小人族のとりででのリーフとジャスミン。

6.「魔物の洞窟」

単行本

表紙は、『魔物の洞窟』の怪物・グルー。装丁は、6つめの宝石・アメジストと同じ紫色。

文庫版

表紙は、物語終盤、リーフ・ジャスミン・バルダが『魔物の洞窟』から脱出しようとする場面。

7.「いましめの谷」

単行本

表紙は、『いましめの谷』の番人。装丁は、7つ目の宝石・ダイアモンドを模した柄。

文庫版

表紙は、物語中盤、デイン、ジョーカーとリーフがトーラの街の前にたたずむ場面。

8.「帰還」

単行本

表紙は、デル城にあらわれた七羽の怪鳥・アクババ

文庫版

表紙は、物語終盤、『デルトラのベルト』をつかんだリーフが、バルダ・ジャスミンのもとへ飛び降りる場面。

「デルトラ・クエストⅡ」シリーズ

 影の大王の支配から解放されたデルトラ王国。ところが、約17年におよんだ圧政のあいだに大勢の国民が影の王国に連れ去られ、残された人々は生死のわからない家族や友人たちを案じていた。
 リーフは、影の王国にいる奴隷たちをデルトラへと連れ戻すため、影の大王の魔力に対抗できる力を持つ『ピラの笛』を探して再び旅に出る。

 翻訳は岡田好惠

裏表紙

 裏表紙に描かれているのは、作中に登場する人物である探検家・ドランが歴史書『デルトラ年鑑』に描き残した、デルトラ王国とその近くにあるとされるピラ三島の位置を示した地図。

1.「秘密の海」

表紙は、プリューム島の岩壁をふさぐ怪物・ダーク

2.「幻想の島」

表紙は、オーロン島の怪物・アラク

3.「影の王国」

表紙は、影の王国で生み出された怪物・ブラール

「デルトラ・クエストⅢ」シリーズ

 
 影の大王が去ってしばらくたち、安定が戻りはじめたかに思えたデルトラ王国だったが、国民はかつてないほどの飢えにみまわれていた。作物が芽吹かず、魚一匹採れない飢饉の理由を探したリーフは、影の大王が残した『四人の歌姫』計画によってデルトラの大地が毒されていることを知る。   
 『デルトラのベルト』の魔力を高める七種の竜の生き残りを探し出し、『四人の歌姫』を倒して豊かな王国を取り戻すため、リーフは最後の旅に出る。

 翻訳は上原梓

裏表紙

 裏表紙は、「デルトラ・クエストⅢ」シリーズで登場人物たちが探す『四人の歌姫』のありかを示したデルトラ王国の地図。

 巻が進むごとに、4枚に分散した地図の切れはしが1つずつ増え、最終巻「最後の歌姫」で1枚の地図として完成する。

1.「竜の巣」

表紙は、物語終盤で登場するルビーの竜

2.「影の門」

表紙は、『北の歌姫』を守る仮面の人

3.「死の島」

表紙は、『死の島』の怪物(コブ)。

4.「最後の歌姫」

hontoより引用

表紙は、物語終盤で登場するオパールの竜

外伝

「デルトラ・クエスト モンスターブック」

翻訳は神戸万知。2003年2月刊。

「デルトラ・クエスト」Ⅰ~Ⅲシリーズに登場するモンスターについて、イラストつきで解説。

表紙のモンスターはブラール

「デルトラ・クエスト オフィシャルガイドブック」

編・著は石崎洋司。2004年7月刊。

「デルトラ・クエストⅠ」シリーズの日本語版オリジナルガイドブック。

作中に登場するキャラクター・アイテム・モンスター、クイズやパズルを項目ごとに解説。

表紙は日本語版「デルトラ・クエスト」シリーズさし絵・装丁のはけたれいこによるもの。

「デルトラ・クエスト モンスター イラスト・テクニック」

翻訳は上原梓。2005年5月刊。

「デルトラ・クエスト」表紙のマーク・マクブライドによるモンスターの描き方解説本。

ゴール、ブラール、アクババ…etc.あなたもデルトラのモンスターが描けるかも。

「デルトラの伝説」

翻訳は神戸万知。2006年刊。

「デルトラ・クエスト」シリーズの前日譚にあたる物語を収録した短編集。

  1. 「デルトラの伝説」

「デルトラ王国探検記」

翻訳は神戸万知。装画・装丁ははけたれいこ。挿し絵はマーク・マクブライド。本文デザインはシゲトモコ。

「デルトラ・クエストⅡ」シリーズからの登場人物・ドランが執筆したという設定。

デルトラ王国の詳細な地図とデルトラ各地の名所や、モンスターのカラーイラストが掲載されている。

参考

○やまねこ翻訳クラブ「エミリー・ロッダ (Emily Rodda 1948 -  ) 作品リスト」(http://www.yamaneko.org/bookdb/author/r/erodda.htm 閲覧日:2021年1月17日)

○Girl.com.au「Emily Rodda Get Reading Interview」(https://www.girl.com.au/emily-rodda-get-reading-interview.htm 閲覧日:2021年1月17日)

  1. のちの増刷分は日本で製本されている
  2. 日経MJ,2003年8月14日,岩崎書店「デルトラ・クエスト」好調ー男の子の冒険心つかめ、マーケティング徹底。

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