デルトラ王族 祖先・子孫と系図

 デルトラ王族の先祖から、国王の兄弟、妻や子、妻や夫の家族などなど……デルトラ王家とのつながりがある人物の一覧と家系図。

デルの鍛冶屋一族

 初代デルトラ国王 アディンの一族については、アディン自身が代々伝え聞いた話や、ジャリス族の民話『テナ・バードソングの話』の一部として、歴史書『デルトラ年鑑』の第一巻に記録されている。

 この一族は、デルトラでも歴史の深い家系のひとつであり、アディンが王国を建国するはるか前から、数世代にわたってデルの街で鍛冶屋を営んでいた。

 ここでは、デルの鍛冶屋の始祖 サイラスから、アディンまでを示す。

鍛冶屋の起こり

 一族のはじまりは、『竜の地』と、のちの影の王国である片われ島を海底地震が襲い、ふたつの島がつながりあってひとつになったあとの古い時代にさかのぼる。外国との交易で栄えつつあった『竜の地』南部の街 デルで、サイラスというデル族の男が鍛冶屋をはじめた。

 サイラスとその子どもたちは、デルの海岸からほど近い鍛冶場で火を焚き、おのやすき、蹄鉄といった身のまわりの品から、剣やよろいといった武具までをデル族の人々のために作って暮らした。一族の子どもたちは鍛冶の技術を身につけ、先代の鍛冶屋が引退すると、その子が鍛冶場を継いだ。

語り継がれた一族の人物

 鍛冶屋の一族には、祖先が経験した奇妙な出来事や、強い個性を持っていた一族の人物について家族で語り合う習慣があった。国王に任ぜられたアディンは、父たちから聞いた一族の話を『デルトラ年鑑』に書き残した。

鍛冶屋一族の人物

 『デルトラ年鑑』第一巻に記されていた鍛冶屋一族の人物は、以下の19名。太字は鍛冶屋の仕事をしていたことがわかっている人物。

サイラスとひ孫ソフィ

  • サイラス

 デルの街に初めて鍛冶場を作った、黒ひげの大男。またの名を、たくましきサイラスといった。

 現代まで伝わる人物のなかでは最も古いデルトラ王族の祖先であり、鍛冶屋としての一族の始祖。

  • ソフィ

 サイラスのひ孫娘。9歳のとき、デルの街の裏通りで4人目のプリューム族の遺体を見つける。

 グリール、グロック・グルス兄弟の先祖でもある、ピラの笛の吹き口を手に入れたジャリス族の騎士と同時期の人物。

オパールからひ孫たち

  • オパール

  平原族出身の女性。

 予知夢の力を持ち、いずれ起こる影の大王の侵略と、救世主であるアディンの誕生、そしてヒラの街の滅亡を予言した。夢に現れた救世主の男を探すため、平原からデルへとやってきて、鍛冶屋の男と結婚した。

  • オパールの夫

 デルの鍛冶屋。遠いヒラからやってきたオパールを受け入れ、彼女の話をよく聞いた。

 『竜の地』の時代には、異なる部族の人物間での結婚はとても稀だった。オパール夫妻の結婚によって、彼ら以降の鍛冶屋一族には平原族の血が入っている。

  • オパール夫妻の七人の息子

 オパール夫妻には7人の男子が生まれた。

  • オパール夫妻の孫息子

 オパール夫妻の子どもたちのうち、いずれかの人物が結婚して生まれた子。

  • オパール夫妻のひ孫息子

  オパールは非常に長生きし、孫、そしてひ孫を持った。

 オパールは、一族に男子が生まれるたび、その子が夢に現れた男なのかどうか確かめた。しかし、オパールが生きているあいだに救世主の男の子が生まれることはなかった。

オパールの両親
  • ドッド
  • ライザ

 長年ヒラ近くの平原でりんご農園を営んでいたが、長女 オパールが生まれる一年前に虹色のオパールの鉱脈を掘り当て、以降はヒラの宝石職人やアクセサリー商に宝石を売って財を成した。

 鍛冶屋の一族から見ると、オパールと鍛冶屋の男の結婚によってドッド・ライザ夫妻とも親族関係が生まれたことになるが、両者の交流はなかったと思われる。

プライマスからアディンの両親

  • プライマス

 一族のひとり。ジャリス族とデル族の境界を争う戦いで亡くなった。

  • アディンのひいじいさんの弟

  16歳のとき、両親と口論になってデルからほど近い『沈黙の森』に入り込み、消息を絶った。

  • アディンのひいじいさん

 上述の人物の兄にあたるが、どのような人物だったかアディンは明かしていない。

  • アディンの父

 アディンの先代の鍛冶屋。話好きで、サイラスやソフィ、プライマスといった先祖たちの話をアディンに語り聞かせた。

鍛冶場のその後

 アディンが七部族を統合してデルトラを建国したのちも、彼のひ孫にあたる4代国王 アディーナまでの子孫は、サイラスがはじめた鍛冶場に住み、鍛冶を続けていた[[王国探検記p.66]]。アディーナの息子 ブランドンが鍛冶場の近くにデル城を建てさせると、王族と呼ばれるようになった一族の子孫は、貴族や家臣を引き連れて宮殿へと移り住んだ。[[沈黙の森p.29]]。

 ブランドンが去った鍛冶場は、すぐに彼らの一族とは血縁関係のない個人に引き渡され、その後も同じ場所で鍛冶屋が数百年間つづけられた[[王国探検記p.66]]。

 アディンの子孫が鍛冶場を離れたことは、主席顧問官の強いすすめによるものであり、デル城では華やかな宮廷文化が栄えた。しかし、国王は庶民の感覚を失い、また市民も城にこもりきりの国王への関心を失くしていった。ひいては、『デルトラのベルト』の力の源である、国民からの信頼を途絶えさせることにもつながった。

 影の大王の侵攻によってデル城が影の大王軍の手に落ちると、アディンの十数世代あとの子孫にあたるエンドンがふたたびサイラスの鍛冶場に戻り、デルの街で鍛冶仕事をして生計を立てた。影の大王の支配を経た鍛冶場には住人がいなくなった時期もあったが、建物が打ち壊されたり捨てられたりすることはなく、現在はエンドンの息子 リーフが一家で鍛冶場に定住している。

デルの鍛冶屋一族の家系図

サイラスからソフィまでの4世代
オパールの両親、ドッド・ライザ夫妻とオパール夫妻からの3世代
プライマスと、アディンの曾々祖父母からアディンの両親までの3世代

※グレーは、文中に書かれていないが存在していたはずの人物や世代

※世代間のつながりや個人名ははっきりと伝えられていないため、オパールの子~ひ孫までの世代、プライマスやアディンの両親以前の世代は重なっている可能性もあります。

⇒次ページ:デルトラの王族(国王以外)

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