#わたしを作った児童書5選

1.かいけつゾロリ/原ゆたか

 書店や本の通販サイトで「デルトラ・クエスト」と一緒に分類されていることが多いかいけつゾロリ。世代を超えて愛される子どもの本です。私は、図鑑→ゾロリ→デルトラの順で読みました。
 ゾロリのほうは今も続刊が出ていますが、最初にアニメをやる前くらいまでは読んでいて、おまけのフィギュアなんかも持ってました。ほうれんそうマンも好きだったな。 
 同じ子どもの本でも、ゾロリは本文の字が大きいですよね。デルトラに出会ったのはゾロリのあとでしたが、小さな字がびっしりと並んでいて、なんだか大人になった気分でした。ゾロリまでは「おはなし」を読んでいたのが、デルトラからは「物語」になっていったんだと思います。

2.黒ねこサンゴロウ/竹下文子

 児童書が好きな方には知られている作品だと思います。
 タイトル通り、主人公はワイルドで渋い黒猫のサンゴロウ。ちょっとカッコ良すぎるくらいなんですが、好きな人はどんぴしゃで好みのキャラクターなんじゃないかな。
 シリーズの序盤は、船づくりを試みるサンゴロウのお話なのですが、1巻から2巻のあいだで彼はその記憶を失ってしまいます。残りの巻では、身寄りがなく、自分が何者かも分からない、孤高の船乗りとして、サンゴロウがさまざま危機に遭遇しながらも活躍します。

 猫がしゃべって考えるなんてのも、猫好きさんにしてみれば夢の世界だと思います。そんなわけで、こちらの「黒ねこサンゴロウ」シリーズはファン向けの保存版とかが出ていたりします。
 近代的な船を作る部族であるうみねこ族と、山にこもり狩猟採集の生活を送るやまねこ族の対立の歴史であったり、サンゴロウが商売で訪れる見知らぬ島であったり、舞台となる世界も奥行きがあって面白いです。

3.ともだちは海のにおい/工藤直子

 国語の教科書なんかでもおなじみ、工藤直子さんの作品です。ライオンときりんが主人公の「ともだちは緑のにおい」も好きで、こちらだけ数年前古本屋さんで再会したので手元にあります。

 ありきたりな感想ですけど、ともだちって良いなと思います。「緑のにおい」の方をまた読み返そうかな。

4.タートルストーリー/樋口八重子

~違うかもしれないあやふやあらすじ(ネタバレあり)~
 日本人の作家さんなのですが、舞台はニューヨークで、主人公はアメリカ人の男の子です。知能が高くて飛び級をしたけど、年上ばかりのクラスに馴染めない9歳くらいの男の子。
 その子が、数少ない友人だった日本人の男の子から、日本に帰国しなきゃならないのに連れて帰れないとかで、飼っていたでかいカメを預けられるのです。
 このカメさんは、メスなのにカメゾウだかカメキチだか、ちぐはぐな名前をつけられています。そして、どういうわけか主人公にたいしてだけ口を利くのですが、自分の名前が気に入っていなくて、タートルと呼ぶように要求してきます。
 退屈なタートルと孤独な主人公は、ひそかにおしゃべりを楽しみます。カメとこっそりしゃべってるだけでも読んでるとドキドキしますが、タートルが主人公よりもちょっと大人びたお姉さんって感じでそわそわしてしまいます。
 最後このカメさんはセントラルパークかどこかでいなくなってしまうのですが、主人公も周囲に馴染めるようになったのか苦境は脱しているし、タートルは自分でなんとか生きていきそうだしで、寂しいけど仕方ないなって感じの終わり方だったと思います。

 この本は、図書館にも所蔵してないし、古本もなかなか売っていません。ネットのレビューで記憶を補完しただけで、なんせ小学校低学年からちゃんと読み返したことがないので、全然違う筋だったらすみません。
 でも、なぜか忘れられない強烈な印象が残っています。日本人が書く海外(アメリカ)ということで、翻訳本っぽい日本語というか、洋楽風の邦楽というか、どこか不自然な文体なんですね。それがかえって異国情緒があり、子ども心に憧れを持ったような記憶があります。
 もっと大きくなってから、海外ファンタジーを経てYA小説も読むようになりました。ニューヨークが舞台になっているものも、いくつも読みました。そちらは本国で書かれた本場の作品なわけですが、なんとなくこの「タートルストーリー」で感じた憧れがひとつのはじまりになっていたような気がします。
 ニューヨークは私にとってファンタジーの異世界に近いけど、本の中ではセントラルパークにも3回くらい行ったことがあります。実際にニューヨークに行くことはたぶんないだろうけど、想像の中では知っている。これは本に限らず映画やドラマとか、創作物の醍醐味って感じですね!

 5選目はもちろん「デルトラ・クエスト」ですが、たくさん読んだなかではいぬいとみこさんの「ながいながいペンギンの話」も好きでした。ペンギンたちの習性にリアリティがありました。「ぼくの王さま」も最近ちょこっとだけ目を通す機会があったけど、やっぱり面白い。

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